ヒョウモントカゲモドキの総排泄腔脱
ヒョウモントカゲモドキをはじめ、多くの爬虫類は総排泄腔脱を起こすことがあります。
尿や便が排泄される総排泄孔から直腸をはじめ臓器が反転し飛び出ることによって、臓器からの出血や組織の壊死が起こり、時には命に関わることもあります。
総排泄腔脱を起こした時には、可能な限り早期に脱出した臓器をお腹の中に戻し、保護してあげることが重要です。
また、臓器が飛び出てしまう原因として、何かしら腹圧が上昇してしまう病気が隠れていることが多いため、その病気を治療することも非常に重要になります。
症例
年齢のわからないヒョウモントカゲモドキが、何か臓器がお尻から出ているとのことで来院しました。
みてみると、総排泄孔より、直腸が飛び出ている状態でした。飛び出ていた直腸はまだ血流があり、組織は生きている状態であったので、そのまま総排泄孔より直腸を腹腔内まで押し戻して、安定させました。
その状態で半日経過を見ていましたが、再度脱出が認められたので、再度臓器の整復を行った上で、総排泄孔を狭める意味合いで縫合を行いました。
その状態で5日間程度維持して、臓器の脱出が起こらないことを確認してから抜糸を行いました。その後は再度直腸が脱出しないか経過を見ていましたが、再発はありませんでした。
便検査やレントゲン検査等を行いましたが、腹圧が上昇するような疾患が認められることはありませんでした。
爬虫類が臓器脱を起こしてしまった時には早期の整復と維持、原因の特定が重要になります。
臓器脱にて困っている小さなご家族がいる方は、ぜひ当院までご相談ください。