橈尺骨骨折は前腕部の骨である橈骨と尺骨が折れてしまう骨折です。
小型犬に発生することが多く、現在の日本ではお家にご家族として迎えられている小型犬が非常に多い為、骨折としてはもっとも一般的な骨折になります。
骨折の治療には骨折を整復して固定することが必要で、通常は手術をして内固定(体の中での固定)を行います。それに対して、外固定とは、体の外で固定をしていく方法で、一般的にはギプスのようなものをイメージするとわかりやすいと思います。
内固定の中でも、橈尺骨骨折に対してはプレートによる固定手術が行われることがほとんどで、骨折部位の変位がなく、手術をどうしても回避したい場合には外固定で治療する場合もあります。
症例
2歳のトイプードルがイスから飛び降りた時に急に鳴き声をあげて、前肢を挙上しているという症状で来院されました。
診てみると、完全に前肢は上にあげてしまい、地面に着くことができない状態でした。
レントゲン検査にて骨を確認すると、前腕部の骨である橈骨と尺骨が折れてしまっていることがわかりました。


骨折の整復と、内固定をする目的で、手術を実施することになりました。
内固定の方法は、プレートにて固定する方法で実施していきます。
全身麻酔をかけて前腕部の組織を切開し橈骨と尺骨を露出していきます。
骨折部位を確認し、プレートを当てる部位を確保するために周囲の組織を剥離していきます。
骨折部位をきれいに合わせて保持し、プレートにて固定を行いました。
骨とプレートを固定するためにスクリューというネジを入れていきます。


骨折部位によってはこのスクリューを入れる幅が確保できないため、プレート固定が適応とならないこともあります。
手術後は包帯を巻いて術創を保護し、組織の腫脹を抑えていきます。
最初は運動を制限してきますが、徐々に制限を解除していき、包帯の固定も薄くしていきます。
約2ヶ月後には橈骨の骨折部位の癒合を確認しました。
自分の足で歩けるようになり、元気に走り回ってくれています。
橈尺骨骨折は、小型犬においてもっとも一般的な骨折であり、その治療には手術が必要になることが多いです。
小さなご家族が橈尺骨骨折にてお困りの方は、是非一度当院までご相談ください。