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食道裂孔ヘルニア 猫 吐き気 呼吸が苦しい 整復手術 裂孔の縫縮 胃固定

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食道裂孔ヘルニアとは、横隔膜に開いている穴である食道裂孔に何らかの異常が認められ、食道の一部や胃の一部が食道裂孔を通じて横隔膜前方の胸腔内に入り込む疾患です。

比較的珍しい疾患であり、原因に関して、先天性の場合と、何か原因があっての後天性の場合があります。

後天性の場合、重度の上部気道障害、短頭種気道症候群、喉頭麻痺などが原因となることがあります。

一般的な症状は吐出、流涎、嘔吐、呼吸促迫などになります。

診断はレントゲン検査にて疑うことができ、消化管造影レントゲン検査やCT検査などで診断を行うことができます。

症例

13歳齢の雑種猫が呼吸が苦しいとの症状で来院しました。

胸部のレントゲン検査をしてみると、肺野が白くなっていました。

レントゲン検査
レントゲン検査

横隔膜のラインも消失しており、横隔膜ヘルニアが疑われましたが、食道裂孔ヘルニアの疑いもあったため、消化管造影レントゲン検査を実施してみることにしました。

消化管造影レントゲン検査を実施してみると、肺野の白い部分に造影剤が入っていったので、消化管が胸部に飛び出していることが確認でき、食道裂孔ヘルニアを一番に疑われました。

消化管造影レントゲン検査
消化管造影レントゲン検査

呼吸状態も悪く、物理的な整復を実施することによって症状が改善することが見込まれたため、手術による整復をご提案し、実施することになりました。

手術を実施する前に、胸部のCT検査を実施し、脱出した臓器の確認と、食道裂孔ヘルニアであることを診断として確定させました。

CT検査 胸腔内まで胃や脾臓が入り込んでいることが確認できる

腹部正中切開により開腹を行い、お腹の中の臓器の状態を確認しました。

食道裂孔より、胃の一部と大網、脾臓が胸腔内に入り込んでいました。

食道裂孔より大網が入り込んでいる様子
大きく開いた食道裂孔を確認

脱出した臓器を腹腔内に戻していきます。

戻し終わった後、食道裂孔の孔を縫縮していきます。

食道裂孔縫縮前
食道裂孔縫縮後

また、胃を尾側に引っ張って腹壁に固定を行いました。

その後、閉腹を行い、手術を終了しました。

術後にレントゲンを撮影してみると、臓器の整復がしっかりできていることが確認できました。

術前のレントゲン画像
術後のレントゲン画像
術前のレントゲン写真
術後のレントゲン写真

術後は呼吸状態も安定し、元気に退院していきました。

食道裂孔ヘルニアは比較的珍しい疾患であり、時に症状は強く重症になってしまうことがあります。

リスクも伴いますが、臓器の整復と固定を行うことによって劇的に症状が改善することが見込めることもあります。

小さなご家族が食道裂孔ヘルニアにてお困りの方は、是非一度当院にご相談ください。

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