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異物誤食 リクガメ 消化管内異物 開甲術 消化管切開術

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カメの消化管内異物は時おり見られる疾患であり、リクガメでは食べ物に付着した床材を異物として誤食してしまうことが多いです。

異物自体を食べ物と勘違いをして食べてしまうこともあります。

症状は、食欲不振や便が出ない、元気消失、嘔吐などがあります。

診断は画像検査によって行うことができます。

レントゲン検査や超音波検査にて、異物の存在を確認します。

異物をより詳細に評価する必要がある場合にはCT検査を実施します。

消化管閉塞を疑うような状態では、消化管の通過を確認するために、消化管造影レントゲン検査を行うこともあります。

治療は、異物の数や大きさによって判断が分かれますが、内科治療と外科治療を行うことができます。

内科治療は、温浴を行うことによって、飲水量の増加や消化管運動を促進し、総排泄孔からの異物の排出を促進させます。

また、便軟化剤を飲ませることによって排便をスムーズにしたり、浣腸を実施することによって結腸内の異物であれば排出を促したりすることができます。

外科治療は、手術を行うことによって異物を直接取り出していきます。

異物の大きさや数によって、消化管の閉塞が起こる可能性が高ければ実施を考慮します。

麻酔や手術に対する負担が大きいため、適応は慎重に決定する必要があります。

症例

9歳のヘルマンリクガメが異物を食べてしまったということで来院しました。

他の病院にてレントゲン検査を何度か繰り返しており、異物がうつってきているが1週間ほど異物の場所は動いてないとのことでした。

当院でもレントゲン検査を実施すると、消化管内に異物がうつっていました。

現時点では元気や食欲もあり、異物による症状は出ていなかったのですが、今後消化管が閉塞し、一気に症状が出る可能性を考え、手術による摘出を実施することにしました。

CT検査を実施し、異物のある位置をや大きさ、数を詳細に確認してから手術に入っていきます。

CT画像 消化管内の白色の異物が見える
CT画像 消化管内の白色の異物が見える

麻酔をかけて、人工呼吸用のチューブを気管に挿管し、手術の準備をしていきます。

消化管全体にアプローチができる方法として、腹側の開甲術によるアプローチを実施しました。

お腹側の甲羅を消毒し、四角の形に切っていきます。

甲羅の切る範囲は、お腹の中が見える範囲が狭くならないよう、広く開けすぎて胸の臓器や足の筋肉を傷つけないよう、

慎重に決定する必要があります。

甲羅を切って持ち上げると、お腹の筋肉である腹直筋と、腹膜が見えてきます。

甲羅の切開する位置を決定
甲羅を持ち上げると腹膜が見えてくる

腹膜の左右に大きな血管があるので、その血管は傷つけないよう慎重に腹膜を切っていくと、開腹となります。

お腹の中の臓器を見ていくと消化管の中に異物があるのが触知できました。

その消化管を切開し、異物を摘出しました。

消化管を露出する
切開し異物を摘出する

摘出後、切開した消化管を細い糸で慎重に縫合して閉じていきます。

その後、切開した腹膜を縫合して閉腹し、切開した甲羅を元に戻して固定し、手術を終えました。

切開した消化管を縫合する
開甲した甲羅を戻して固定を行う

麻酔からも順調に回復し、数日間の入院をして、元気に退院していきました。

カメの消化管内異物は、時おり見られる疾患であり、異物の大きさや数によっては外科的な摘出が必要になることもあります。

小さなご家族が、消化管内異物でお困りの方は、是非一度当院までご相談ください。

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