不正咬合はチンチラによく認められる疾患であり、臼歯の過長が原因となってしまうことが多いです。
症状のないチンチラの35%において何らかの歯科疾患が認められたとする報告もあります。
基本的に全年齢において発症する可能性があるが、高齢時に診断される割合が多いです。
原因としては牧草などの歯を研磨する餌の不足や遺伝や外傷などが考えられています。
野生下の個体に比べて飼育下の個体のほうが臼歯の長さが伸びているとされており、採食している物の質が原因となっている可能性が高いと考えられます。
主な症状としては食欲不振、体重減少、便の数や大きさの異常、柔らかい食餌を好むようになる、流涎、歯軋りなどです。
診断は意識下での口腔内検査(口腔内の観察)やレントゲン検査などで行います。
さらに詳細な観察が必要な場合には麻酔下での口腔内検査やCT検査などを実施します。
治療は麻酔下での臼歯の研磨(臼歯削り)になります。
症例
5歳のチンチラが食欲不振と柔らかいものを好むようになったとの主訴で来院されました。
流涎が多く、下顎が常に唾液で濡れているような状態でした。
意識下での口腔内検査やレントゲン検査では明らかな異常は認められませんでした。
症状としては不正咬合が一番に疑われたので、ご家族との相談の上、麻酔下でのCT検査と口腔内検査を実施することにしました。
CT検査を実施すると、レントゲン検査ではわからなかった臼歯の過長がはっきりと診断できました。
そのままの麻酔下で臼歯の伸びている部分を削りました。
臼歯削りの処置を行なった後は流涎も減り、食欲も以前より出てくるようになりました。
チンチラは草食獣であり、臼歯過長やそれに続発する不正咬合がとても多いです。
小さなご家族が不正咬合にてお困りの方は是非当院までご相談ください。