カメが事故によって傷を負ってしまい来院する頻度は多く、高所からの落下や交通事故などが主な要因となります。
中には、一緒に飼育しているカメに噛まれてしまい傷を負ってしまう場合もあり、体格差のある個体同士だと致命傷になるケースもあります。
症例
11歳のミシシッピニオイガメが同居していたスッポンに噛まれてしまったとの主訴で来院しました。
右前肢を噛まれており、手首から先の部位がかろうじて皮一枚繋がっている状態でした。
手首から先の組織の損傷の度合いが強かったため、局所麻酔にて皮膚を切り離し、露出している手根関節を覆うように縫合し閉鎖しました。
しかし、前腕部が残っていると損傷した右前肢に体重をかけてしまうため、縫合した部位に負担がかかってしまい、上手く傷が治らず開いてしまいました。
そこで、体重をかけられないようにするために、前腕部の骨と上腕骨の大部分を切除してしまう断脚手術を提案し、実施することにしました。
手術になるため、麻酔をかけて体を不動化しました。
前肢を引っ張りながら上腕の組織を切開し、上腕骨を露出しました。
上腕骨がなるべく短くなるように離断を行い、周囲の筋肉で骨を覆うように縫合しました。
切開した皮膚を縫合して閉鎖し手術を終えました。
術後はなるべく水に入らないような環境を作ってもらい、傷口は癒合してくれました。
外傷の度合いによっては縫合処置や時として組織の切断が必要なケースも出てきてしまいます。
小さなご家族が外傷でお困り方は、是非一度当院までご相談ください。