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柏メルビー動物病院

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乳び胸 犬 柴犬 胸水 呼吸困難 手術 胸管結紮

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乳び胸とは、リンパ液が胸の中のリンパ管から漏れ出して胸の中に溜まっている状態を言います。比較的珍しい疾患で、原因がわからない一次性の乳び胸と原因がわかる二次性の乳び胸にわかれます。

二次性の乳び胸では、胸の中の腫瘍や心臓病、横隔膜ヘルニアや肺葉捻転が原因となることがあります。

乳び胸の症状は食欲不振や元気消失、体重低下、呼吸困難など、色々な症状が認められる場合があります。

診断は胸部レントゲン検査もしくは胸部超音波検査にて胸水が溜まっている状況を確認し、胸水の分析を行うことで判断します。

二次性の乳び胸で原因となる疾患があれば原因の疾患の治療を行い、乳び胸の改善が認められるかをみます。

また、内科治療として胸水の抜去やルチンの内服、低脂肪食の給餌といった方法をとります。

一次性の乳び胸、もしくは二次性の乳び胸で原因となる疾患の治療を行い改善が認められない場合には、外科的な治療を考慮します。

外科治療には様々な方法が報告されていますが、複数の方法を組み合わせると成績が向上するとされており、当院では胸管結紮、心膜切除、乳糜槽切開の3つの術式を組み合わせて実施しています。

症例

6歳の柴犬が咳のセカンドオピニオンにて来院しました。

胸部レントゲン検査にて胸水が溜まっていることを確認し、抜いてみると白色の液体であり、中性脂肪が高くコレステロールが低いことを確認し乳び胸と診断しました。

抜去した胸水

胸部超音波検査及び胸部CT検査にて、乳び胸が起こる他の疾患(心臓病や胸の中の腫瘍など)を除外し一次性の乳び胸である特発性乳び胸と判断しました。

胸水の貯留スピードが早いことと、ご家族の積極的な手術希望があった為、比較的早期に手術を実施することにしました。

全身麻酔をかけて、まず右側の肋間開胸術を行い、胸を開いて胸の中のリンパ管である胸管を見つけました。

肋間開胸にて胸管を見つける
リンパ節へ色素の注入

その後腹部正中切開にて開腹を行い、腸管膜リンパ節からインドシアニングリーンという造影剤を注入し、胸管を色素で染めました。

色素で胸管を染めて視認をし、結紮を行っていきました。

色素で染めた胸管

胸管の走行は個体差が有りこの症例は複数本の胸管が認められました。

その後、厚くなっている心臓表面の膜である心膜を切除しました。

心膜に切開を入れたところ
心膜の一部を切除

心膜切除によって静脈の圧力が解放され、乳びが漏れにくくなるとされています。

次に右側の閉胸を行い、体位変換をして左側の肋間開胸術を行いました。

左側からも胸管が確認でき、結紮を行いました。

胸管の結紮を行ったところ

その後、左側の閉胸を行い、体位変換を行い、腹部正中切開の傷口から乳糜槽切開を行いました。乳糜槽切開によって、乳びを胸管に運ぶ前にお腹の中に漏れさせ、胸の中に漏れにくくなるとされています。

以上で全ての術式を終え、お腹を閉じて手術終了としました。

手術終了時の術創

術後は4〜5日前後は胸水が溜まっている期間がありましたが、退院する1週間後にはほとんど胸水は認められなくなりました。

術前の胸水
術後の胸水

現在手術から2週間ほど経過しますが、胸水の貯留はなく、経過としては良好に推移しています。同時に内科治療は行いながら、再び胸水が貯留してこないかどうか経過を見ていきます。

乳び胸は胸水を抜くことさえできていればすぐに状態が悪くなる病気ではありませんが、徐々に胸膜炎が進行するなどをして治療が難しくなってしまう病気でもあります。

内科治療でうまく反応をしない乳び胸に対して、当院では外科的な治療もご提案することができます。

小さなご家族が乳び胸でお困りの方は、是非当院に一度ご相談ください。

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