デグーの慢性鼻炎 歯根過長 仮性歯牙腫 円鋸術
デグーの慢性鼻炎は歯科疾患が原因のものが多くを占めており、慢性的な臼歯の過長によって臼歯の歯根の過長がおき、鼻道を刺激することによって起きます。
臼歯の過長は定期的な歯科処置を必要とし、適切に管理をしても歯根が伸びてきてしまうことはあります。
鼻道が開通できるように、抗生剤や抗炎症剤、鼻汁の粘調性を下げる薬を使用しますが、効果は一過性のことが多く、場合によっては鼻道を広げるために外科的な処置が必要になることもあります。
症例
4歳のデグーが慢性的な鼻閉塞音を症状に来院されました。
他の病院にて3ヶ月程度治療を行っているが、改善がないとのことでした。
レントゲンを撮ってみると、臼歯歯根の過長が確認され、歯根の先にやや増生した組織が確認されました。
内科治療を続けていて改善が見られないこと、歯根の過長が原因と考えられたので、円鋸術にて鼻道へアプローチし、歯根を削る手術を提案し、実施することにしました。
CTを撮影し、歯根の伸びている部位を正確に計測しました。
全身麻酔を実施し、CTで計測した位置の鼻骨にラウンドバーにて穴を開けて鼻腔内にアプローチしました。
鼻腔内に伸びてきている歯根を掘削し、削る深さや位置が適切かどうかCTを撮影し確認しながら手術を進めました。
CT上で十分な深さが削れたと判断できたので、手術を終了しました。
鼻骨に開けた穴はそのままにし、気道を開存させました。
術後、鼻骨に穴を開けた部位の皮膚が塞がってきてしまい、鼻先から吸った空気の逃げ場がなくなってしまって皮下気腫になってしまいました。
もう一度麻酔をかけた上で、鼻骨に開けた穴の上の皮膚を十分に切開し広げることで皮下気腫はおさまりました。
術後はやはり鼻閉塞音は続くものの、手術前に比べると、だいぶ改善して楽そうになりました。
改善しない慢性鼻炎や鼻閉塞は時には外科的な対応が必要になることもあります。
当院では円鋸術や歯科処置なども治療法の選択肢としてご提案することができます。
小さなご家族が慢性鼻炎や鼻閉塞でお困りの方は、是非一度当院までご相談ください。