うさぎの子宮疾患
うさぎは子宮疾患が多発する傾向に有り、高齢になるにつれて発症の確率が上がってきます。
中でも悪性腫瘍である子宮腺癌は、2〜3歳での発生率は4%程度とされていますが、5〜6歳での発生率は80%程度とされています。
よって、早期の避妊手術が勧められることも多いのですが、うさぎは犬や猫に比べて麻酔のリスクが高いとされています。
当院でも早期の予防的避妊手術を推奨しておりますが、麻酔リスクと合わせて考え、それぞれのご家族と相談の上実施させていただくことが多いです。
症状としては血尿や食欲がなくなってくることが主ですが、無症状のこともよくあります。
子宮腺癌であると、ゆっくりと進行し、お腹の中に広がったり、他の臓器に転移することもあります。
子宮疾患の場合、外科的な治療として卵巣子宮を摘出することが治療のほとんどですが、麻酔リスクの高い子に関しては、症状に合わせて内科的に治療することもあります。
症例
5歳のネザーランドドワーフがお腹が張ってきたとの症状で来院されました。
レントゲン検査、超音波検査にてお腹の中に巨大な腫瘍があることが確認できました。
お腹の腫瘍が巨大だったため、どこの臓器から腫瘍が出てきているかを調べるためにCT検査を行い、子宮が疑わしいことがわかりました
腫瘤が巨大なことや、うさぎの麻酔リスクが高いこともあり、手術を行うこと自体のリスクも高かったのですが、
ご家族と相談の上、手術を実施することにしました。
開腹してみるとお腹の中を巨大な腫瘤が占め、子宮の一部と繋がっていました。
繋がっている部分は比較的小さく、周囲の組織とも癒着があまりなかったこともあり、腫瘍を摘出することができました。
麻酔からも無事覚醒し、当日に元気に退院していきました。
病理組織学的検査の結果、平滑筋腫という良性の腫瘍でした。
子宮疾患になってしまううさぎが多いので、早期の予防的避妊手術をお勧めしていますが、麻酔リスクと合わせて考え、
それぞれのご家族と相談し、実施するか決めさせていただいています。
当院では、子宮疾患になってからでも手術は実施可能なので、小さなご家族が子宮疾患にてお困りの時には、ぜひ当院でご相談ください。