ハリネズミの肝臓腫瘍 子宮腫瘍
ハリネズミも年齢が上がるにつれて腫瘍ができやすくなるとされているが、子宮疾患は多くみられ、その多くは腫瘍とされています。
肝臓腫瘍ができることは珍しく、実態としてはほとんどがわかられていません。
症例
3歳のハリネズミが血尿が出ているとの主訴で来院されました。
避妊手術を実施していない雌だったので、子宮疾患が疑われました。
ハリネズミはその子の性格にもよりますが、そのままの状態で詳細な検査を行えることは少なく、しっかり検査を行うためには麻酔が必要になることも多いです。
麻酔をかけて超音波検査を行なったところ、子宮の腫大が有り、肝臓にも腫瘍が認められました。
肝臓・子宮以外にも腫瘍の広がりがないか確認をするためにCT検査を実施しました。
肝臓の腫瘍は、肝臓の一部だけにできていることがわかりました。
血尿の原因は子宮疾患の可能性が高いことが考えられ、その治療には子宮の摘出が効果的なことが多いです。
肝臓の腫瘍に関しては、今回偶然見つかり、血尿とは関係性が少ないと考えられます。
しかし、大きくなれば命にも関わることもあるので、ご家族との相談の上、同時に手術することにしました。
開腹してみると、やや大きくなった子宮があり、肝臓にも腫瘍が認められました。
子宮を摘出した後に肝臓のアプローチにうつります。
肝臓はお腹の上の方に位置し、肋骨に囲まれた場所に位置するので、引き出すことが難しい臓器です。
腫瘍をしっかり引き出すために腹部の切開を広げて、肝臓の腫瘍を摘出しました。
麻酔からも無事覚め、翌日には元気に退院しました。
手術後は血尿は治りました。
病理組織学的検査にて、子宮は間質腫瘍、肝臓はカルチノイドという腫瘍であることがわかりました。
ハリネズミは子宮疾患が非常に多く、今回の手術のような卵巣子宮摘出術を行う頻度は多いです。
肝臓の手術に関してはあまり報告もなく、リスクの高い手術でしたが、無事に終えることができました。
当院では十分なご説明の上、効果的だと判断すれば、前例のあまりない治療や手術を実施することもあります。
小さなご家族があまり治療法のない疾患でお困りの時には、ぜひ当院にてご相談ください。