カメの尿路結石は陸棲種において見られ、膀胱と総排泄腔にできることが多いとされています。
原因としてはビタミンやカルシウムの不足、タンパク質の過剰摂取、シュウ酸の過剰摂取の可能性が言われているが、詳細はわかっていません。
日本で飼育されている種類では、インドホシガメ、ギリシャリクガメ、ロシアリクガメが尿路結石を持ってしまうことが多いと言われています。
結石によって出てくる症状は、血尿や食欲低下、呼吸困難、便秘、排尿障害などがあります。
治療は内科治療と外科的な治療が有り、内科治療は食事中の水分を増やしたり、温浴によって排尿を促し、自然排出を助けます。
外科治療は結石の摘出であるが、総排泄腔内の石であれば、鎮静処置や麻酔をした後で、総排泄孔から鉗子などで摘出できることもあります。
結石が大きければ、全身麻酔をかけて、腹側の甲羅を切開もしくは後肢の付け根から切開を行い結石を摘出します。
症例
1歳のギリシャリクガメが食欲低下といきみを症状に来院しました。
レントゲン検査にて、膀胱内に結石があることを確認しました。
症状が強いことや、結石が大きいことなどから、外科治療を選択しました。
全身麻酔を行い、仰向けに固定をします。
腹側の甲羅(腹甲)をサジタルソーにて切開をします。
切った甲羅を持ち上げ、腹筋の膜を切開すると、お腹が開きます。
結石摘出
膀胱を切開し結石を取り出し、膀胱を縫合し閉じます。
甲羅に関しては、エポキシ樹脂にて固定を行い、甲羅が癒合したらエポキシ樹脂を外します。
手術後はいきみがなくなり、食欲は徐々に回復しました。
カメの膀胱結石は大きくなることも多く、外科的な摘出が必要になることも多いです。
小さなご家族が膀胱結石にてお困りの時は、是非当院にご相談ください。