猫の尿管結石
猫の尿路結石は非常に多い病気であり、その結石が尿管に移動すると閉塞を起こしてしまいます。
シュウ酸カルシウムという種類の結石ができることが多く、一度結石ができてしまうと溶解させるのは難しいことがほとんどです。
尿管が閉塞した状態で時間が経過してしまうと腎臓の機能が低下していき、最終的には機能しなくなってしまいます。
よって、尿管が閉塞した場合には可能な限り早いタイミングで閉塞を解除して、腎機能を温存させることができるかが、非常に大事になります。
症例
4歳のアメリカンショートヘアーが食欲不振と吐き気を主訴に来院しました。
血液検査にて腎臓の数値が上昇し、レントゲン検査にて尿管と腎臓の結石を、超音波検査で腎盂の拡張と尿管結石を確認しました。
尿管が閉塞し、腎臓から尿が排出されないので腎臓の機能が低下してしまっていることが予想されました。
尿管の閉塞を解除するために、腎臓膀胱バイパスシステム(SUBシステム)を設置する手術を選択しました。
この症例は、過去に2回尿管閉塞になってしまい、閉塞を解除するために尿管切開を実施していました。それでも再度詰まってしまっていたので、SUBシステムの設置の方が良いと判断しました。
SUBシステムとは、人工の管を腎臓から皮下を通して膀胱までつなぐシステムで、尿管が閉塞したとしてもSUBシステムを通して腎臓から膀胱に尿が排出できる、というものになります。
開腹をして、尿管が閉塞している側の腎臓を確認しました
周囲を剥離して、腎婁チューブを設置を実施。
膀胱周囲を剥離し、膀胱婁チューブを設置を実施。
それぞれに繋いだチューブをポートに接続し、腎臓から膀胱に尿が流れるようにしました。
腹壁にポートを固定し、閉腹していきます。
SUBシステムは時々洗浄をして、詰まりがないように管理をしていきます。
SUBシステムはまだ普及し始めてから日が浅く新しい手術方法の一つですが、尿管の閉塞を確実に迂回ができて尿を排出できるというメリットがあります。
生体にインプラントを埋め込む手術方法なので、デメリットもあります。
そのバランスを考えながら、尿管閉塞の治療法の一つとして、当院では採用をしております。
尿管閉塞で苦しむ小さなご家族がいる方は、是非当院までご相談ください。