脱腸は直腸が肛門から脱出してしまっている状態であり、正式には直腸脱といいます。
原因はわかられていないことが多く、腸炎や腸内細菌の異常増殖に伴って発生するとされています。
また、腸重責と言って、腸が重なってしまう病気も併発していることが多いとされています。
一般的には脱腸になると再発をしてしまうことも多く、経過として厳しいものになることが多いです。
治療は出ている直腸を戻して、出ないように肛門に巾着縫合をかけることや、直腸の損傷が激しければ、脱出している直腸を切除し、直腸同士を吻合する手術になります。
症例
3ヶ月齢のチンチラが直腸脱になってしまい、他院で診てもらったものの外科手術の対応が難しいとの主訴で来院しました。
診てみると、すでに直腸が脱出しており、出血と組織損傷がある状態でした。
ご家族に同意を得て、緊急手術を実施しました。
脱出している直腸はすでに損傷をしており、そのまま陥入し保存していくことは難しいと判断し直腸の切除と吻合を実施することにしました。
出てきている直腸の基部に縫合糸をかけて牽引し、正常な直腸組織を引き出してきます。
脱出してしまっている直腸は腫脹も激しく損傷もしていたので、正常な部分を残して切除しました。
その後、直腸の断端同士を髪の毛ほどの細さの縫合糸にて縫合し、吻合を行っていきます。
上下左右の4箇所を縫合して固定をしてから、その間を埋めるように縫合をしていきます。
縫合が全周終わった後で、直腸組織を牽引していた糸を緩めると、縫合部は肛門からお腹の中へ戻っていきます。
その後、出血がないことを確認して手術を終了しました。
術後は3日ほどはお腹の痛みが強いためか動きも悪い状態が続いていましたが、その後から段々動きが出てきて食欲も出てきました。
排便も正常なものが出てきた時点で退院し、その後は元気を取り戻していきました。
直腸脱は再発が多く経過も悪いことが多いのですが、幸いにも術後3ヶ月ほど経過しますが、再発がなく元気に過ごしています。
リスクは高いですが、当院では直腸脱の治療の選択肢として手術をご提示することも多いです。
小さなご家族が直腸脱でお困りの方は是非当院までご相談ください。