指の形質細胞腫
形質細胞腫は体の様々な部位にできる腫瘍であり、できる部位や臓器によって悪性度は異なります。
皮膚に発生する形質細胞腫は比較的悪性度が低いことが多く、適切に切除を行うとその後は再発もなく過ごせることが多いです。
しかし、時には大型になり、部位によっては正常な体の構造ごと切除を行わなければならないこともあります。
症例
17歳のヨークシャーテリアが指先の腫瘍を痛がって歩きたがらないことを主訴に来院しました。
指先の腫瘍は以前からできており、徐々に大きくなってきているとのことでした。
細胞診検査を行なってみると、一般的に皮膚にできる腫瘍とは異なる細胞が取れてきました。
また、悪性腫瘍を疑う細胞であったので、手術による切除を勧めました。
腫瘍のできている位置や大きさから、切除となると指を落とさなければならない状態でしたが、ご家族との相談の上実施することにしました。
手術に際しては高齢でもあるため、麻酔管理が重要になります。
痛みをとるために鎮痛薬の全身投与に加え、局所神経ブロックを併用しました。
そのおかげで、使う麻酔薬の量も少量にて済むので、負担の少ない麻酔を実施することができました。
そのような状況の中で、1本の指を落とすことで腫瘍を切除することができました。
手術後は痛みが取れて見違えるように元気になり、しっかり歩けるようにもなりました。
切り取った腫瘍の病理組織学的検査の結果は、形質細胞腫という腫瘍でした。
適切な切除を行なえばその後の再発は多くはないので、年齢も考えると、追加の治療はせず経過を追っていきます。
高齢であっても、必要な手術に関しては、適切な麻酔管理のもと実施してあげることによって楽にしてあげられることも多いです。
小さなご家族が指端の腫瘍にてお困りの方は、是非当院までご相談ください。