猫の腎臓腫瘍
猫の腎臓腫瘍は比較的珍しく、リンパ腫や腎細胞癌という腫瘍の種類が多いです。
症状は腫瘍が大きくなるまであまり出ないことも多く、食欲不振や吐き気などが主な症状になります。
リンパ腫であれば化学療法(抗がん剤)が、腎細胞癌であれば外科的な摘出が治療方法になります。
症例
8歳の雑種猫が食欲不振を症状に来院しました。
レントゲン検査、超音波検査にて腎臓に巨大な腫瘍があることを確認しました。
細胞診検査を実施し、腎細胞癌の疑いが高いと判断しました。
血液検査にて腎臓機能がまだ残っていると判断できた為、手術による摘出を治療として提案し、実施することになりました。
開腹すると、巨大な腫瘍が右腎臓にできていることがわかりました。
後大静脈という、腹部で一番太い血管と腫瘍が癒着をしており、剥離をしないと摘出が困難でした。
血管を傷つけないように慎重に癒着を剥離し、無事に腫瘍を摘出することができました。
摘出した腫瘍は、病理組織学的検査の結果、腎細胞癌という腫瘍でした。
手術後元気に退院することができました。
腎細胞癌は転移性の高い腫瘍のため、有効性は確立されておりませんが、術後の化学療法を実施しながら、経過を見る形になりました。
腎細胞癌は大きくなるまで症状を出さないことも多く、発見する頃には腎機能低下が見られたり、転移がみられたりするため、
早期発見での治療が大切になってきます。
その一方で、治療には片側の腎臓を摘出しなければならないので、治療の実施自体を迷うこともあります。
当院では治療するメリットとデメリットをお伝えした上で、ご家族と相談しながら治療方針を決めていくことが多いです。
小さなご家族が、腎臓腫瘍にてお困りの方は、是非一度当院までご相談ください。