肺葉捻転
肺葉捻転とは、肺の一部である肺葉が捻れてしまう病気です。
本来は大型犬が多い病気ですが、日本では小型犬での発生も多く見られます。
原因としてはわかっていないものが多く、胸水が溜まってしまう病気から二次的に発生することもあります。
症状としては咳や呼吸困難が起こることが多く、肺葉捻転が起こることによっても胸水が溜まってきます。
症例
8歳齢のシェットランドシープドックが急性の咳と喀血を症状に来院しました。
レントゲン検査にて胸水貯留、一部の肺が真っ白になり、真っ白な肺の中に細かな空気が溜まっているといった所見がありました。
レントゲン所見から肺葉捻転を疑い、診断を確定させるためにCT検査を実施しました。肺葉基部からの気管支の途絶や肺葉内に細かな空気を貯留している像がより鮮明にうつってきていたので肺葉捻転と診断しました。
そのままの麻酔で手術へ移行しました。
右第5肋間開胸術により胸腔内にアプローチしました。
胸を開けてみると、変色して腫大した肺葉が出てきました。
肺葉基部を剥離し、組織を結紮して、捻転した肺葉を切除しました。
切除後、胸の中の空気や液体を抜くためのチューブを入れて、胸を閉じていきました。
術後咳や喀血はなくなり、術前に溜まっていた胸水も徐々になくなっていきました。
肺葉捻転は比較的珍しい病気ですが、適切な診断と、手術による治療を行わないと症状の改善は見込めません。
肺葉捻転にて苦しんでいる小さなご家族がいる方は、是非当院までご相談ください。