横隔膜ヘルニア
横隔膜とは、胸とお腹を分けている膜であり強靭な組織でできています。
交通事故などの強い外力にて横隔膜が破れたり、生まれつき膜の構造に異常があると、腹腔内の臓器が胸腔内まで飛び出してしまいます。
このようにお腹の臓器が胸まで飛び出している状態を、横隔膜ヘルニアといいます。
事故などで、急に横隔膜ヘルニアになると、強い呼吸障害が現れ、命に関わることが多いです。
症例
2歳の雑種猫が急な呼吸促迫を症状に来院しました。
外にもよく行く子であり、外で事故にあったかもしれないとのことでした。
レントゲンを撮影してみると、腹部の臓器が胸部まで脱出しており、横隔膜ヘルニアになっていました。
緊急的な状態であり、すぐに手術へ移行しました。
お腹を開けてみると、横隔膜が破れ、腹部臓器が胸腔内に移動しているのが直接見ることができました。
慎重に腹部臓器を胸腔内から引っ張りだし、元の位置に戻しました。
破れた横隔膜を縫合し、元の膜の状態に戻します。
その後閉腹して手術を終えました。
臓器を戻した後及び手術後が、循環の状態に変化が起こることが多く、術後管理も慎重に行います。
今回手術した子は術後順調に回復し、元気に退院しました。
横隔膜ヘルニアは早期の整復が推奨され、命に関わることも多い重篤な疾患です。
横隔膜ヘルニアで苦しんでいる小さなご家族がいる方は、是非当院までご相談ください。