耳の腫瘍
犬の耳の腫瘍は発生は多くありませんが、慢性の外耳炎が続いていると続発性に耳道ポリープや腫瘍ができてくることがあります。
多くは発生から慢性経過を辿ることが多く、管理が難しくなってくると外科的な介入が必要になることもあります。
症例
14歳のミニチュアダックスフンドが慢性的な外耳炎の相談に来院しました。
長い期間続いている外耳炎によって耳道は狭くなってしまい、入り口には腫瘍ができて狭窄してしまっていました。
腫瘍の部分が化膿し、やや強い臭気を発するようになってしまっていました。
内科治療を長い期間続けていましたが、徐々に悪化してきてしまい、腫瘍があることによって奥の掃除ができないこともあって、外科的な治療を実施することになりました。
CTを撮影して耳道の奥から内耳まで観察してみると、腫瘍は奥の耳道まで続いており、内耳までは伸びていないようでした。
CT検査は耳の奥である内耳を評価する良い検査となります。
ご家族と相談の上で、術式としては、手前の腫瘍の部分だけを取り除き、奥の耳道までの通気をよくする手技を実施することにしました。
耳全体の毛刈りをし、全体を消毒して手術の準備をします。
耳道入口にできている腫瘍を耳介軟骨ごと切除し、耳道は垂直耳道と呼ばれる部位は切除し、水平耳道は温存しました。
水平耳道が皮膚に開口する部位を新しい耳孔として形成しました。
しばらくは術創から排膿があったり腫脹があったりしましたが、次第に落ち着いていき、2週間経過すると術創は綺麗に癒合しました。
手術前に比べるととても耳垢の量が減り、臭気もほとんどなくなりました。
内科治療でうまくコントロールできない外耳炎では、時には外科的な治療が必要になることもあります。
小さなご家族が慢性的な外耳炎にてお困りの方は、是非当院までご相談ください。