ハリネズミの皮膚腫瘍
ハリネズミは体に腫瘍ができることが多く、ある程度若齢でも見かけることがあります。
外観からだけでは良性悪性の判断はできないことが多く、検査を推奨することが多いです。
負担の少ない細胞診検査から推奨することが多いのですが、丸まってしまう性質上、細胞診検査でも鎮静や麻酔が必要なこともあり、同時の麻酔で手術までご提案することもあります。
症例
2歳のハリネズミが胸の前にできた腫瘍の診察で来院しました。
ハンドリングが可能な子だったので、鎮静や麻酔なしで細胞診検査を実施しました。
上皮系の細胞集塊が取れてきたため、上皮性腫瘍を疑い、細胞の形態からはどちらかといえば良性の腫瘍を疑いました。
診断が決まるのは切除してからの病理組織学的検査になってしまうので、ご家族との相談の上、手術で切除することになりました。
麻酔をかけて、血液検査、レントゲン検査、超音波検査などを行い、転移徴候がないかどうかや、手術に耐えられる体の状態かを調べました。
検査の結果、転移徴候や他の病気もなかったので、手術を行いました。
周囲の皮膚ごと腫瘍の切除を行い、縫合して皮膚を閉じました。
ハリネズミは抜糸も難しいことが多いため、吸収されるような縫合糸で縫合していきます。
麻酔後はすぐに麻酔からも覚醒し、元気に退院して行きました。
切除後の病理組織学的検査の結果は皮脂腺癌でした。
ハリネズミの皮脂腺癌は比較的珍しく、十分なデータがありませんが、手術でしっかり切除ができていたため、追加の治療はせずに様子を見ていきます。
見た目や細胞診検査上、悪性が疑われなくても、ハリネズミの腫瘍は悪性のこともあります。
小さなご家族が腫瘍でお困りの方は、是非当院までご相談ください。