股関節脱臼
犬や猫の股関節脱臼はしばしば遭遇する整形外科疾患です。
交通事故や高所からの落下など、何らかの外部から強い力が加わることによって発症するケースが多いです。
脱臼からあまり時間が経過していない状態だと、股関節を整復し包帯にて固定しているとそのまま固まってくれることがあります。しかし、再度脱臼をしてしまったり、脱臼から時間が経過していると、手術にて股関節を安定化しないといけない場合があります。
症例
2歳のキャバリア・キング・チャールズ・スパニエルが急性の右後肢の破行を症状に来院されました。
股関節を触診している時に痛みが強く、レントゲン検査をしてみると、右股関節が脱臼していることがわかりました。
一度麻酔下で脱臼した股関節を整復し、包帯にて固定をしていました。しかし、またすぐに脱臼してしまいました。
よって、再度麻酔下で、大腿骨の骨頭という部分を取り除く手術を実施しました。
皮膚を切開し、筋肉を分離することによって、脱臼している骨頭を露出していきます。
骨頭を露出した後、サジタルソーにて骨頭を切除し、筋肉や皮膚を縫合して閉鎖し、手術を終えました。
手術後、1週間ほどで退院し、その後元気に走れるようになりました。
大腿骨頭切除は正確には股関節脱臼を整復する手術ではありません。しかし、手術後の機能回復等を考えると十分に治療効果のある方法になります。
急性の股関節脱臼にてお困りの小さなご家族のいる方は、ぜひ当院までご相談ください。