胆嚢粘液嚢腫
胆嚢内にムチンを構成成分とした濃縮した胆汁が蓄積してしまう病気になります。
詳細な原因はわかられておらず、脂質代謝の異常やホルモンの病気が原因で発症してしまうことがあるとされています。
少量の蓄積であると無症状なことがほとんどであり、経過をみていくことが多いです。
貯留量が増えていくと、胆汁の鬱滞が起きるようになり、肝臓に徐々に負荷がかかっていきます。
さらに貯留が進み、胆汁が流れていく総胆管という管が詰まってしまうと一気に重篤な症状が出てしまいます。
内科的な治療によって閉塞の解除を試みる場合もありますが、基本的には外科的な治療によって閉塞の解除を行っていくことがほとんどです。
症例
12歳齢のチワワが食欲不振を症状に来院しました。
血液検査によって肝臓の値の重度の上昇が見られて、黄疸も認められました。
超音波検査によって胆嚢粘液嚢腫が認められ、総胆管の拡張が見られたことから閉塞が疑われました。
入院しての内科治療によって閉塞の解除を試みましたが、解除されなかった為、ご家族と相談をした上で外科的な治療に踏み切りました。
開腹をしてみると、拡張した胆嚢が確認され、周囲の臓器との癒着が認められました。
胆嚢を肝臓から剥離して、総胆管の開通を確認して胆嚢を切除しました。
その後肝臓の状態を調べるために肝生検を行い、閉腹しました。
術後はだんだん肝臓の値が下がっていき、元気になって退院しました。
胆嚢粘液嚢腫は無症状の状態から閉塞がおきると一気に状態が悪化する怖い病気になります。
予防法も十分に確立されておらず、周術期死亡率も比較的高いことから、状態が悪化する前に手術をしてしまうのも一つの考え方かもしれません。
小さなご家族が胆嚢粘液嚢腫にてお困りの方は、是非一度当院までご相談ください。