リチャードソンジリスは地上性の動物ですが、飼育下であるとケージ等に登り、高所から落下することにより四肢や体幹部の骨折や脱臼が時々見られます。
治療法は安静や外固定、手術による内固定によって行われますが、活動性が高い個体が多いため、固定するのは必ずしも簡単ではありません。
股関節脱臼であると、患部の安定化のために骨頭を除去する手術を行うことがあります。
症例
1歳齢のリチャードソンジリスが急な後肢の挙上で来院しました。
高いところから落ちた直後から挙上しはじめたとのことでした。
レントゲン検査を実施すると、股関節脱臼と大腿骨骨折が認められました。


複雑に脱臼と骨折をしているので、固定による安定化は難しいと判断し、大腿骨頭切除術による安定化をご提案し、実施する形になりました。
麻酔をかけて、体位を固定し、毛刈りや消毒を実施し手術の準備をしていきます。


大腿部の組織を切開していくと、骨折している大腿骨と、脱臼している股関節が確認できました。
骨折部位が周囲の組織を傷つけないように大腿骨の骨頸部側を切除し、手術を終えました。


術後はやや手術部位を気にする様子が見られますが、だんだん正常な歩行ができるようになっていきました。


リチャードソンジリスは活動性の高さと体の大きさから、骨折や脱臼での固定が難しい生物種の一つです。
しかし、脱臼や骨折の部位によっては手術による安定化を期待できる場合もあります。
小さなご家族が脱臼や骨折でお困りの方は、是非一度当院までご来院ください。